【パワハラ防止法】パワハラの境界線とは?

2022年4月から中小企業もパワハラ防止法の義務化の対象になりました。

部下を持つ立場にいる方は、
『どこまでが職務上必要な指導で、どこからがパワハラ』になってしまうのか?
その境界について、悩まれる方も多いかと思います
ここでは、
パワハラと職務上必要な指導との境界について、
具体的な例を見ながら学んでいきましょう

厚生労働省があげるパワハラの6類型からみる
パワハラの境界は?

1
身体的な攻撃:パワハラと指導との境界線は?

蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える。物を投げるパワハラ



■パワハラになる行動
・上司が部下に対して、殴打、足蹴りする
相手に物を投げつける

■パワハラにはならない行動

・誤ってぶつかってしまった、
・業務上関係のない同僚どうしのけんか

2
精神的な攻撃:パワハラと指導との境界線は?

脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など精神的な攻撃を加えるパワハラ

 

■パワハラになる行動
・上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする。

・長時間にわたる厳しい「しかり」を繰り返す
・人前で大きな声で威圧的な「しかり」を繰り返す
・相手を否定する内容のメールを相手を含む複数の人に送信する

■パワハラにはならない行動

・遅刻など、社会的ルールを繰り返し注意しても改善されないスタッフに強く注意する
・仕事で重大な問題行動を行ったスタッフに強く注意すること

注意するときは、短く!シンプルに!がポイントです。

3
人間関係からの切り離し:パワハラと指導との境界線は?

隔離や仲間外れ、無視など個人を疎外するパワハラ



■パワハラになる行動

・長期間にわたり、別室に隔離し、仕事を与えない。
・一人のスタッフに同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる

■パワハラにはならない行動

・新入社員の育成のために、一定期間、別室で研修を行う
・コロナ等の感染病予防のために自宅での業務を指示する
・スキルアップなどのための研修を一時的に別室で受ける
・懲戒規定に基づき処分を受けたスタッフに対し、
一時的に別室で必要な研修を受けさせる

4
過大な要求:パワハラと指導との境界線は?

仕事上明らかに不要なことや、遂行不可能な仕事を押し付けるパワハラ



■パワハラになる行動
・必要な教育を行わず仕事をさせる
・到底対応できないレベルの業績目標を課す
・業務とは関係のない私的な雑用を行わせる

■パワハラにはならない行動
・スタッフを育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる。
・業務の繁忙期に、通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せる。

5
過小な要求:パワハラと指導との境界線は?

仕事をする上で必要性のない、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、
仕事を与えないパワハラ



■パワハラになる行動
・管理職である労働者を退職させるため、誰でもできるような業務を行わせる
・気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない

■パワハラにはならない行動

・スタッフの負担を考えて、業務内容や業務量を軽減する

6
個への侵害:パワハラと指導との境界線は?

私的なことに度を越えて立ち入るパワハラ



■パワハラになる行動
・家族や恋人について、通常の会話の域を超えてしつこく聞く
・私物の写真を無断で撮影をする
・スタッフの個人情報(性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報)を、了承を得ずに他者に開示する
・職場外で、どこで何をしているか監視する

■パワハラにはならない行動
・スタッフへの配慮を目的として、必要な範囲で家族の状況などをヒアリングする。