【パワハラ防止法】就業規則に追加する条文を紹介します

Q パワハラ防止は就業規則にどのように追加したらいいの?



A
パワハラ防止法では、『事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発』をすることが推奨されています
これは就業規則に、パワーハラスメントの禁止規定を定めて
それを労働者に知らせる ことで対応できます

では、具体的にどのような条文を追加したらいいのか
例文で紹介します

就業規則本文中に、パワーハラスメントの禁止規定を定め、懲戒規定と連動させる例
以下のような条文となります

第○○条 職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係に基づいて、業務の適
正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業
環境を害するようなことをしてはならない。
(懲戒の種類)
第○△条 会社は、従業員が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の
区分により懲戒を行う。

第○○条に違反したとき
従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態
度その他情状によっては、第○△条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停
止とすることがある。

A
就業規則のほかに、詳細を別規程に定める例
以下のような条文となります

【就業規則】
(パワーハラスメントの禁止)
第□□条 パワーハラスメントについては、「パワーハラスメントの防止に関する規程」により別に定める。
パワーハラスメントの防止に関する規程

(目 的)
第 1 条 この規程は、就業規則第□□条に基づき、職場におけるパワーハラスメン
トを防止するために従業員が順守すべき事項及び雇用管理上の措置について定
める。
(定 義)
第 2 条 パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人
間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身
体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
2 前項の「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」とは、直属
の上司はもちろんのこと、直属の上司以外であっても、先輩後輩関係などの人間
関係により、相手に対して実質的に影響力を持つ場合のほか、キャリアや技能に
差のある同僚や部下が実質的に影響力を持つ場合を含むものとする。
3 第 1 項の「職場」とは、勤務部署のみならず、従業員が業務を遂行するすべて
の場所をいい、また、就業時間内に限らず実質的に職場の延長とみなされる就業
時間外を含むものとする。
4 この規程の適用を受ける従業員には、正社員のみならず、パートタイム労働者、
契約社員等名称のいかんを問わず会社に雇用されているすべての労働者及び派
遣労働者を含むものとする。
(禁止行為)
第 3 条 前条第 1 項の規定に該当する行為を禁止する。
2 上司は、部下である社員がパワーハラスメントを受けている事実を認めなが
ら、これを黙認する行為をしてはならない。
(懲 戒)
第 4 条 前条に定める禁止行為に該当する事実が認められた場合は、就業規則第○
○条及び第△△条に基づき懲戒処分の対象とする。
(相談及び苦情への対応)
第 5 条 パワーハラスメントに関する相談及び苦情の相談窓口は本社及び各事業場
で設けることとし、その責任者は人事部長とする。人事部長は、窓口担当者の名
前を人事異動等の変更の都度、周知するとともに、担当者に対する対応マニュア
ルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。
2 パワーハラスメントの被害者に限らず、すべての従業員はパワーハラスメント
に関する相談及び苦情を窓口担当者に申し出ることができる。
3 相談窓口担当者は、前項の申し出を受けたときは、対応マニュアルに沿い、相
談者からの事実確認の後、本社においては人事部長へ、各事業場においては所属
長へ報告する。人事部長又は所属長は、報告に基づき、相談者のプライバシーに
配慮した上で、必要に応じて行為者、被害者、上司並びに他の従業員等に事実関
係を聴取する。
4 前項の聴取を求められた従業員は、正当な理由なくこれを拒むことはできな
い。
5 所属長は、対応マニュアルに基づき人事部長に事実関係を報告し、人事部長は、
問題解決のための措置として、前条による懲戒のほか、行為者の異動等被害者の
労働条件及び就業環境を改善するために必要な措置を講じる。
6 相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとと
もに、相談をしたこと、又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利
益な取扱いは行わない。
(再発防止の義務)
第 6 条 人事部長は、パワーハラスメントが生じたときは、職場におけるパワーハ
ラスメントがあってはならない旨の方針及びその行為者については厳正に対処
する旨の方針について、再度周知徹底を図るとともに、事案発生の原因の分析、
研修の実施等、適切な再発防止策を講じなければならない。
附則 ○年○月○日より実施

出典:「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」をもとに一部加工